
人相というのはその人格がにじみ出るものだ。安里理事長(2025年度一般社団法人アマチュアキックボクシング協議会理事長)と話していると、いつも笑顔を絶やさない優しいお顔に誰もが思う事だろう。
その穏やかな表情とは裏腹に、某有名フルコンタクト空手道場の内弟子として激しくそして厳しい格闘技人生をスタートさせた安里理事長。世の中は第一次キックボクシングブームで、所属していた道場からも多くのプロキックボクサーがデビューしていた。「身近に接していたこの素晴らしい格闘技を、是非生まれ故郷の沖縄に持って帰りたい。そう思ったのが動機です。」と安里理事長は話す。
そんな想いで造った真樹ジムオキナワは、沖縄では初のキックボクシングジム。当時、新興の格闘技であったキックボクシングは世間からも注目されていて多くの入門生を集めた。「あの時はひっきりなしに問合せやら入門の電話が多くて大変でした」と安里理事長は話す。しかし、ご存じのように栄枯盛衰を繰り返すキックボクシング。そんな衰退の歴史を知っているだけに安里理事長の笑顔の奥にある苦労もまた、読み取れる。
数えきれない程の選手を沖縄から日本各地へ、そしてISKAコンチネンタルチャンピオンという世界的な土俵へも押し上げてきた。その実績は、沖縄はもとより日本全国のキックボクシング関係者も周知のことだ。
現在、多くのキックボクシングジムが沖縄には存在する。その中でも”正統”と呼ばれるのが、今でも尊敬している現役当時の先生の名を冠した、この系譜に属するジムだ。現在、安里理事長が心血を注いで創り上げたこのネットワーク、沖縄県キックボクシング連盟によって我々のAKCの沖縄は運営されている。
2022年11月20日に沖縄空手会館にて行われた沖縄初の全国規模のアマチュアキックボクシングイベント”全日本選手権大会”もまた然り。安里理事長が蒔いた種は見事に花を咲かせ、そして実を結んだのだ。
一時期、安里理事長は沖縄を離れ、いろいろなところでトレーナーとして活動をしていた時期がある。もちろんそれは指導者としての知識や経験値を上げるためでもあろう。ご自身が沖縄を離れることで、育ててきた組織が自ら考え行動することで更に成長する、という期待も込めてと言うことも。そして、何より自分自身が楽しむ、きっとその笑顔の理由の一つはそうなのだと確信する。
現在は一般社団法人アマチュアキックボクシング協議会理事長と言う役職のもと、全国のアマチュアキックボクシングの大会を飛び回っている。更には、新たに起こした真樹ジム糸満を、これまで築き上げてきたカリキュラムや信用、なによりもキックに対する愛で大きくしていくに違いない。
キックボクシングで人を育てるという信念は、流派を超え世代を超え、そして距離的な不利性さえも超えて広がり続ける。沖縄に在住する理事長は、今日も笑顔で前に進むのだ。
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一般社団法人アマチュアキックボクシング協議会理事長
・真樹ジム糸満 代表
安里 昌明
1960年1月生まれ
沖縄県那覇市出身
真樹ジム糸満
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